民法改正「契約不適合責任」とは

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民法の改正で「瑕疵担保責任」は無くなる!

「民法」とは、およそ120年前に作られた、「日常生活の基本的ルール」を定めた古い法律です。

 

法律自体が古いので、時代にマッチしない部分もあり、今回は2017年5月に法律改正され、2020年4月に施行されます。

 

今回の民法改正の目玉は、「瑕疵担保責任」に替わりに定められた「契約不適合責任」です。

 

両方とも法律用語特有の難しい表現ですが、内容は「不動産の売却物件に欠陥があったときの責任の取り方」が定められています。

 

現行と新しい制度では、いったいどこが異なるのかを見ていきましょう!

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①民法の「瑕疵担保責任」って何?

「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」とは、例えば建物を買ったあとで、床下がシロアリの被害でボロボロであれば、「売主さん」に対して契約の解除や損害賠償請求ができるという規定です。

 

「瑕疵(かし)」とは「欠陥・キズ」という意味であり、「担保」とは「保証」という意味になります。

 

買ったときに気づかなかった「隠れた瑕疵」を対象に、修理費用を求めることができます。

 

修理する部分がひどくて買った目的を達成できない(※住宅であれば住むことができない)くらいのレベルであれば契約を解除することもできます。

 

責任を負わせるためには、瑕疵に気づいたときから1年以内に実行しなければなりません。

 

瑕疵の存在を確定し、根拠を説明するのです。

 

例えば、買ってから3年目に瑕疵があることに気がつけば、4年目まで責任を負わせることができます。

②今回の民法改正のポイント

2017年5月26日の民法の改正によりどう変わるのか?

 

今後、不動産売買を予定している人は、どこが変わったのかを理解している方が有利な取引ができます。

 

民法の、「瑕疵担保」「契約不適合」に替わります。

 

「瑕疵担保責任」は、例えば「この家を買いたい」というように目的の建物などが特定されているときに適用されます。特定されていなければ「債務不履行責任(義務を果たさない責任)」が適用されます。

 

そもそも不動産売買契約では購入する側が代金を支払い、売却する側が物件を引き渡せば、契約自体は完了しているため、物件に欠陥があったとしても債務不履行責任を負わせることはできません。

 

そこで、欠陥があった場合には「瑕疵担保責任」で対応していました。

 

ところが、「契約不適合責任」は目的物が特定されているかどうかは関係ありません。

 

種類・品質・数量について契約に適合していなければ適用され、「債務不履行責任」として対応します。

 

つまり、「契約での取り決めと異なるから責任をとる」という意味になるのです。

 

旧制度の「隠れた瑕疵があった」ときの責任を、新制度で「契約内容に適合していない」ときの責任に切り替えたということです。

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③売買契約の「契約不適合責任」とはどんなもの?

新しい制度では、責任の取り方が増え選ぶことができる範囲が広まったので、「買主さん」にとって有利になったと言えます。

 

「契約不適合責任」について、「債務不履行責任」により買主保護を強めています。

 

「瑕疵担保責任」では、損害賠償請求と契約解除の2つのペナルティなので、欠陥があったときの責任の取らせ方としては多いとは言えませんでした。

 

しかし、「契約不適合責任」では、損害賠償と契約解除に加えて、「追完請求」や「代金減額請求」も可能になりました。

 

つまり、「ケースバイケース」のペナルティの幅を与えることが出来るようになったと言えます。

 

「契約不適合責任」の内容について、売主の責任の有無を目的物が特定できるかどうかを問わず、契約内容にあっているかどうかで判断します。

 

従って、「隠れた瑕疵」でなくても構いません。

 

「瑕疵担保責任」は「無過失責任(過失がなくても責任を負うこと)」なので、売主に責任がなくても欠陥の存在や根拠を証明できれば責任を負うことができました。

 

しかし、債務不履行責任を適用するためには、売主に責任がある場合でないと適用することができません。

 

「契約不適合責任」により買主への救済手段が増えることになります。

 

救済措置として、以下の救済手段①~④の権利を利用することができます。

 

救済手段①「損害賠償請求」

内容…旧制度では、損害賠償の範囲が欠陥のある部分を修理する費用に限定されていたのですが、新制度では、修理期間中のアパート代なども含まれ範囲が広がっています。

 

救済手段②「追完請求」

内容…欠陥のある物件を引き渡すことは、まだ引き渡しが完了していないという考え方です。別の物件の引き渡しや修理後の引き渡しを請求できます。

 

救済手段③「代金減額請求」

内容…欠陥のある物件を引き渡されたのであれば、その部分の代金を減額することもできます。

 

救済手段④「契約解除」

内容…旧制度では、契約を解除するときには、「購入する目的を達成できない」欠陥がなければ解除できません。新制度では、欠陥が軽微であると判断されるときを除いて解除することができます。

 

「契約不適合」の通知期間制限について、責任を負わせる期間は、欠陥があることを気づいたときから1年以内とし、売主に対して通知しなければならないとしています。

④売買契約時の売主の「表明保証責任」について

「表明保証責任」とは、あらかじめ目的物の条件について書面に記載しておくことです。

 

例えば、取引で「地中に産業廃棄物が埋まっているかのが分かっていれば買わなかった」あるいは「この価格では買わなかった」ということがあるかもしれません。


具体的には、産業廃棄物は埋まっていないと売却する側に表明させ、万が一埋まっていれば保証することを書面に記載しておけば分かりやすいでしょう。

 

ペナルティを詳細に決めておくことでトラブルを回避できる可能性が高くなります。

契約不適合責任①

⑤民法改正による買主への影響

新制度による影響としては、「買主」が損害を求めやすくなると言えます。

 

旧制度では、欠陥を知らないことについて買主に落ち度があれば、売主に責任を負わせることはできませんでした。

 

しかし、新制度では落ち度があっても、契約に適合していなければ責任負わすことができるのです。

 

また、ペナルティの範囲(※上記、救済手段①~④参照)も増えています。

 

旧制度のように修理費用の請求だけではなく、新制度では修理期間中のアパート費用なども請求できるのです。つまり、損害の請求が現実的なスタイルになり利用しやすくなったと言えます。

 

さらに、旧制度では損害賠償を求めるために、欠陥の存在を確定し損害賠償の根拠を説明する必要がありました。

 

しかし、新制度では、目的物の不適合であることを取りあえず通知しておけば良いのです。「詳しくは後から」で構いません。

 

利用できるペナルティの数が増えることもメリットです。

 

例えば、欠陥に気づいたものの、あえて修理する必要がないと思えば代金を減額することもできるということです。

 

そのため結果として、よりお得な買い物になるかもしれないということです。

⑥民法改正による売主への影響

影響としては、新制度による「買主保護」への対応が迫られると言えます。

 

そのため、売買契約書の作成時点で、今まで以上に注意をしなければなりません。

 

買主保護を求められる以上、より詳細な取り決めが必要になってきます。なぜなら、決めていないことについては、不適合が認められやすいからです。

 

そうなれば多額の賠償を負う可能性も出てきますので、責任の範囲を限定するなど、できる限りペナルティを少なくする工夫をおすすめします。

 

賠償額の上限を定めておくことも対策の一つとして必要かもしれません。要は、あらかじめリスクを軽減するための対策を講じることが必須になると考えられます。

 

 

⑥契約を交わすときは注意が必要!

今回の改正のひとつとして、建物などに欠陥があったときの措置が変わりました。

 

購入する側から見るとメリットがあるのですが、売却する側から見るとデメリットになると言えます。

 

「売却」するとき、特に「築年数の古い物件」「長い間空地や空家になっていた物件」「相続した物件」などを売却する場合、あらかじめ詳細な措置を検討しておかなければなりません。

 

不動産取引には最低限の法律知識が必要です。理解しているかどうかで不動産取引の結果に大きな違いが生じる場合があります。

 

特に法律の改正直後には、トラブルが起きやすいのでくれぐれも注意してください。

 

「不動産売買」についてご不明点やご不安な点がございましたら、是非弊社にお気軽にご相談ください。

 

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